税金の使途 (2015/1/12)

 

 

今朝の新聞には、税金に絡んだ記事が幾つかあった。

 

まず初めが、消費税を10%に引き上げる際の軽減税率の適用範囲である。自民党と公明党との間で揉めていたその適用範囲は「生鮮食品と一部の加工食品」(税収減4000億円)か、それとも「酒類をのぞく食品全般」(同約1兆円)か、であった。少なくとも、両党は後者で合意したはずである。

 

ところが、自問党内部から外食も全て軽減税率(税減収13000億円)を提供すべきだという意見が出てきたという。公明党もあっと驚く自民党議員の豹変であるが、要は来年の参院選への対応である。自問党の先生方にとって、もはや財政再建などどうでも良い話になった。曰く、「財源確保は財務省の役人の仕事だ」。

 

もっともこの話、夕方までに自民党内で外食はやはり除外することで落ち着いたようではある。マスコミで騒がれたことが効いたのだろうか。いかにも節操のない騒ぎであった。

 

二つ目。TPP対策として土地改良事業(要は、農地や農道、排水路、農業用ダムの建設)に980億円の予算を付けるという。もちろん自民党農林族議員の要求である。言わずもがな、これも来年の参院選対策である。

 

今から思えば、1990年代初めにウルグアイ・ラウンド対策で6兆円をばらまき、その半分を農業関連の公共事業につぎ込んだ。20年以上前の話である。結果を見れば、あの時の6兆円は全くの捨て金、日本の農業の生産性はいまだに低いまま、何も変わっていない。いえいえ、農家の平均年齢だけは着実に上がって行きました。2015年(推定)の農業従事者の平均年齢は実に66.3歳である。この数字を見て日本の農業が食料安全保障を担保していると考えるならば、よほどのお人好しである。

 

さて、三つ目。この方がよほど大事である。ひとり親家庭に支給される「児童扶養手当」について、政府は来年度から子どもが2人以上の家庭の支給額を引き上げる方針を固めたという。1人親家庭の貧困率は54.6%。親の貧困で、子供までが貧困に陥るという構造はどこかで断ち切らねばならない。人口が老齢化し続ける中で、子供の将来を考えなくてどうする。ちなみに、その対策費用は100億円弱、そうです、たった100億円で済む話なのです。

 

外食の定率減税適用で3000億円、どう見ても効果のないTPP対策の農業公共事業に980億円使うくらいならば、子供の未来に金を使うべきであろう。

 

全く別の話になるが、今年ノーベル賞を貰った大村智氏が賞金を大学に寄附すると言う(自分を教育してくれた山梨大学と東京理科大学を考えている)。彼は、この金の使い道について、「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」という明治期の政治家、後藤新平の言葉を引用している。

 

自問党の族議員は、後藤新平の言葉を噛みしめてはどうだ。「税金をおのれの選挙対策に使うは下(の下)、財政再建に使うは中、次世代を担う子供に使うは上」ということです。

 

 

 

 

 

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